感覚統合療法の件

続 自閉っ子、こういう風にできてます!―自立のための身体づくり

    • 続 自閉っ子、こういう風にできてます! 自立のための身体づくり
    • 2008年
    • 岩永竜一郎、藤家寛子、ニキ・リンコ 共著
    • 花風社

自閉症スペクトラムの人々が運動機能において困っていることは何か、当事者と医師・作業療法士が改善のための訓練法を整理した良書。
特に既存の学校教育における精神論などに対する根本的な批判が印象的。自閉症の人に対しては、早期診断による早期の訓練開始が生活を楽に、豊かにさせる。また綿密かつ柔軟な訓練の計画と実施、および実生活における支援や様々な準備により、当事者生活の動作は若干ないし飛躍的に充実する。
少なくとも家族がこのような支援や訓練に肯定的に関わることにより、当事者からの信頼を得ることは、双方にとってかけがえのない絆をもたらすと思われる。
なお高機能の自閉症の人にあっては、むしろ幼い頃からの早期の診断、訓練、支援は損なわれることが常態であるらしく、この点については既刊『自閉っ子…』の繰り返しではあるが、高機能の当事者たる藤家氏・ニキ氏のこれまでの体当たりの自己訓練・自立までよじ登ってきた段階が紹介されている。
当事者を家族の一員として持つ者が読むに当たっては、いきるって素晴らしい! と、無理な感動無しに、家族・仕事の取引先・当事者・医師、作業療法士の会話を楽しめる。俺たち誰も独りぼっちではないのだ。