唯一無二の体験

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ホーホケキョ となりの山田くん

私にとっては、となりの山田くんの感動体験は、何物にも代え難いもの。

他の派手な映画のような、二番煎じの出る幕がない。他の追随を許さない。同様の企画がもう通らない。みる方も、あのような映画を見る人は少ない。

だからこそ、あの映画を劇場で見た私は貴重。私の試聴体験も貴重。

1999年のワーナーマイカルシネマズ大井、だったか。スーパーマーケットの屋上。梁を跨いでシネコンの玄関に入る。

すいている大スクリーンで、漂うような映像体験。

前後して、主題歌が入ったCDも入手して、いつまでも私はこの映画を記憶することになった。

興業成績がいい映画が必ずしも人の心を豊かに育むとは信じられない。流行語大賞を取った一部の一発ギャグが、人の心を涵養していないように。

ジブリのような大メーカーにあってはちっぽけな売り上げでも、ゼロベースで映画館のチケットを毎年積み上げるユーザーにとっては、大小様々なメーカーの一本一本を選んで観るドキドキ感は、他に比肩しがたいチャレンジの一つだ。

あなたは「咬みつきたい」を見たか?

見なくてもよいかも知れない。

もっと安心して見られるホラーはあるはずだ。

あなたは「ストロベリーロード」を見たか?

原作を見れば済む話だ。

しかし「ホーホケキョ となりの山田くん」は、原作4コマ漫画では得られない貴重な感動だ。あれを映画館で観るからよいのだ。

このままではもう二度と映画館では見られないだろう。あなたは残念だ。

好きな旧作が映画館で気軽に見られるミラクルな世の中になるよう、神さまにこいねがうことをお勧めします。

ホーホケキョ となりの山田くん」は、いい映画です。